4月に始まった国の緊急事態制限も解除され、「あたらしい生活様式」のもと、段階的にすこしづつ緩和され始めていく状況にある。では、今回コロナでシステム案件に実際どのような影響が出ているのか具体的に調べてみた。(なお、下記案件の状況は、弊社に来る案件をもとにまとめたもので規模的には小さいので、一つの例、状態としてこんなことが起きていると見て頂ければ幸いである。)
1.全体案件の状況・・・全体の6割の件数に減少、ただ言語によりバラツキが。
まず全体の案件数の状況である。
上のグラフは、今年の1月~5月までの案件の推移を昨年と比較してみたものである。(5月は20日時点数値での推定値)
昨年は5月に向けて案件件数がすこしづつ上がっているが、今年は3月,4月,5月と落ちてきて5月は1月の6割ベースの件数となっている。
コロナで先が見えない中で、新規募集を止めているプロジェクトもあるだろう。
またプロジェクト開発そのものをリモート化しないといけないといった新たな作業が増えて、増員するどころではなかったのかも知れない。全体として新規募集案件が落ち込んでいることは確かだ。
言語別にみると・・・全体で6割減でも、COBOL、VBは大幅減、スマホ開発は微増に
こうして全体件数が6割と縮小する中で、案件を言語別に分解してみると、COBOLやVBは3割ぐらいに落ちている状況である。一方スマホ系は件数は微増の状態である。あくまでも言語の分類上であるが、どのような開発が”重要”と位置付けられているのか示しているようにも思える。
2.COBOL案件での条件推移
弊社は主に中高年のベテランエンジニアをベースに事業を展開しており、レガシィ系の開発がメインである。
そのため、COBOLについて案件動向をさらに調べてみた。(案件数が激減している時点でかなりの影響が出ているが・・・)
下図は、年齢条件の推移である。
・3月以降年齢記載のない案件比率が半減(3割→1.5割)
・40代までの対象が3割→5割強に増えたのに対し 55代後半以降可な案件は5月に至っては5%しかない。
(今までは15%ぐらいは50代後半~60代まで可であった。)
件数が少なくなる中で、年齢条件が非常に厳しくなっている。今までCOBOL案件ではあまり見られなかった30代までの制限付きの案件もちらほら見かけるようにもなった。件数も3割と少なくなったうえに、年齢条件も厳しい、ベテランエンジニアには厳しい時期となっている。
3.コロナ終息で元にもどるのか
3月~5月の案件推移を今まで見てきたが、緊急事態宣言が解除され問題は、これからコロナの終息に向けて元の状況に戻るかということだ。
6月に入ると在宅勤務解除というところも出てくるだろうし、新規営業も始まりつつある。
すこしづつ回復してくるであろうが、求められる条件が元にもどるには、もうすこし時間がかかるのではないかとみている。
コロナによる企業決算への影響は昨年より今年が厳しくなってくる企業のほうが多いだろう。
そのため今後プロジェクトの見直しや縮小が出てくる可能性が高い。
現に弊社のメンバが参画しているプロジェクトも縮小となり、契約終了という案件も出てきている。
企業活動がすこしづつもとに戻っていく中で、顧客企業の今年の収益の変動見通しによってプロジェクトの継続が左右されるということが今後多く出てくるのではないかとみている。
4.アフターコロナを生き抜くために・今まで通用したスキルセットだけでは厳しい場合も
こうした状況でも生き抜く方法はないのだろうか。
少ない案件の中で生き残っていくためには、やはり少しでも高いスキル、差別スキルをもっていることが必要かも知れない。
エンジニアの方と面談すると、話せば話すほど、お持ちのスキルが縮小均衡に至ることが多い。奥ゆかしくていい方なのだろうが、自分のスキルの一番小さい部分(例えばCOBOLの詳細設計~なら大丈夫とか。)のみでお仕事を探しても、縮小市場では難しいのではないだろうか。詳細設計以降ならとおっしゃる方は本当に非常に多いので、何かプラスαがないと提案突破には難しい状況になる。今までのスキルセットだけで同じように攻めても難しくなってきているのが現状だ。
もちろん、過去経験していないことをしたことにすることはできないが、どこまで自分の技術領域(業務スキルも含めて)の幅を広げられるか、少しのジャンプ力が必要かなと思う。せめて、業務要件、上流設計、基本設計は可能なぐらいのスキル提示はこれからの時代は必要かと思える。
私が面談する方の多くは長くシステム開発を経験しているので、必ず経験した業務、ツールやパッケージのようなプラスαがあるはずだ。少しでもそうしたものを掘り起こして”自信をもって提示できる”(これが一番難しいのであるが)スキルを見つけることが可能性を上げる一歩ではないかと思う。