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月別アーカイブ 12月 2019

ベテランエンジニアはPMOとして活躍できるのか

ミドル・シニアエンジニアのスキルを活かす選択肢のひとつとして多くの人が考えているのはPMOといった役割ではないでしょうか。PG、SE、PL、PMとエンジニアとしての役割が管理・調整へと経験・年齢を重ねるごとにポジションが変わっていき、管理がメインとなったベテランがPMOとしてそのスキル活かせないかと考えるのはごく自然だと思います。
現場でバリバリ開発は難しいし、新しい技術への適応は自信ない。でも多くの経験を活かしながら、PMOとして若い人たちが苦労しているプロジェクトを支援し役に立てるのではないか。多くのシニアのエンジニアがそう考えていると思います。多分プロジェクトも、自分のスキルニーズを求めているのではないかと。
私もミドル・シニアのエンジニアの紹介事業をし始めた当初はそう思っていました。
PMO案件の年齢ハードル
しかしながら、これはシニア側からの見方で、現実の案件状況はすこし違っているようです。
PMO案件にも年齢ハードルがかなりあります。
もちろん、PMOといっても、役割はピンキリです。議事録作成だけのもあれば、ベンダーコントロールや顧客社員の役割としてPMとしての動きを求められている案件もあります。
すべて一緒くたにして調べるのもどうかと思いますが、案件量が限られていますので今回、弊社に来ているPMO案件で、どういう年齢制限がついているのか調べてみました。
対象:弊社に来ているPMO案件(2018年11月~2019年10月)全体として900件強です。
調査方法:案件についている年齢制限を年代別に分類しました。
30代は、30代までの他、それ未満の制限のもの(20代まで)や若手希望といったものも含まれています。
集計を見ると、6割以上は、40代まで、55歳までで含めると、76%にまでなります。
55歳以上、60歳以上も提案OKという案件は全体の6%しかありません。
(もちろん年齢制限あっても、誤差範囲であれば、提案できる案件があるかと思いますが、年齢高い分を超えるプラスαのスキルが必要になってくると考えたほうがいいでしょう。)
昨年の11月からの推移を見ても、山谷あれど、1年通して同じような傾向のように見えます。しかもCOBOL案件より狭い。
(COBOLは約10%)
55歳を超えたエンジニアにとって、PMOとしてプロジェクト支援したいという気持ちの広さほどには窓口が開かれていないのが現状のようです
どうしてPMOに年齢制限が付くのか
PMは若手なんだから、経験豊富なPMOが支援していく。これこそ理想的な姿に見えるのだが、なぜ年齢制限がつくのでしょうか?
(PMOは、本来的には組織内でプロジェクトを横断的に見る組織のことを指すが、)
ほとんどの案件は、プロジェクト内でPM補佐、ないしは支援をする内容となります。作業内容もプロジェクトにかかわる種々雑多な作業を手伝ってPMの負荷を下げたり、代替する役割となります。
PMOの求められる役割としては、過去経験をもとにアドバイスをしてくれることではなく、PMと一緒にプロジェクトを担ってほしいということなのかと思います。
PMが30代だとすると、60歳のPMOに仕事を依頼するのは心理的ハードルが高い。(と考える人が多い)
必然的にPMと同世代のPMOということになってくるということです。
PMOに求められるのは、まずはPMの手足になれるかということ。そこにさらに経験が付いていれば良しの順位づけなのかも知れません。
シニアOKのPMO案件に求められるもの
逆に55歳以上でもOKなPMO案件で求められているスキルはなんでしょうか。求められるスキルはひとつではないでしょうが、プロジェクトごとの重要度を見て振り分けしてみました。
ここには50代後半、60代、年齢記載ないものを含めています。
調べてみると業務スキル、技術スキル条件がついているものが6割となります。
PMOとして調整業務とか進捗管理とかのスキルは当然のこととして顧客業務やプロジェクト技術等+αが合わないとPMOとして参加できないのが現実です。
あなたのPMOスキルを知っている人が一番の顧客になりうる
そんな技術スキルあれば、技術で売っています、と言われる方もいらっしゃると思います。
多くのプロジェクトで経験を積んでいるし、調整能力にも若い人とも上手くやれるという自信がある方は
自分のスキルをよく知っている人を通してPMOに入る方法もあるでしょう。
正攻法で臨めば、スキルや経験ベースでの競争になります。どう調整能力をアピールしてもプロジェクト固有の経験となり、新しいプロジェクトに適用できるものが何かを語らないといけなくなります。それは現実には難しいでしょう。資格もその一つになりえますが、経験には勝りません。
競争を避けるにはPMOとして役に立つだろうと思われているリレーション・コネクションを多く持ち、プロジェクトに呼んでもらう必要があるということではないでしょうか。
PMO案件・人数規模は開発案件と比較して少ない。
PMOは開発者ニーズに比較して求められる案件・人数は少なくなります。例えば100名開発者が必要なプロジェクトにPMOは何人必要でしょうか。
PMOもまずは社内から充当していくでしょう。(自社にスキルがない、専門家がない、人がいない(いなくなった)トラブっている等々)の条件がないと案件化しないでしょう。
その少ないPMOの案件をメインターゲットで仕事を得るには、スキルに+αが必要だと思います。
決して、消去法(技術がないからとかアプリできないから)でPMOを選択すべき状況ではないと思います。
あくまでもエンジニアのスキルのひとつとしてPMOスキルがあるぐらいで臨んでいかないと難しいのではないでしょうか。
ベテランエンジニアはPMOとして活躍できないのか
私は今でもベテランエンジニアがプロジェクトに入れば、現実的にプロジェクトの役に立てると思っています。
しかしながら、現状はウエルカムの状況にはなっていません。
55歳以上のエンジニアが増えている今、PMOとして活躍できないか考えられているエンジニアも多いはずです。
是非、PMOを考える際にPMOとしてのそのもの経験だけではなく、どんな技術や、業務バックグラウンド等があり、PMOとして何を差別化できるのか深堀したり、PMOとしての自分の能力を高く評価してくれそうな関係先はないか洗い出しながら選択していってほしいと思います。