• 03-6869ー4694
  • info@market-interface.co.jp

タグアーカイブ セミナ

「生涯現役」という商標と言葉の持つ力

「生涯現役」という言葉は商標

生涯現役という言葉。見ない日はない。例えば「生涯現役」という言葉で検索すると
277万件出てくる。国、自治体、団体から企業、個人まで広く使われている言葉だ。

ただ、ご存じだろうか、この「生涯現役」という言葉。商標登録されている言葉だ
特許情報プラットフォームJ-platpatで生涯現役を検索すると「生涯現役」で商標登録されている件数は10件(8社)。ぞれぞれ分野が異なっていて、教育事業から、金融商品、清涼飲料から、お菓子まで多岐にわたっている。

この中で一番古く登録している組織がライフベンチャー株式会社で1990年に登録となっている。
(このライフベンチャー株式会社は、私が所属している任意団体日本生涯現役協議会の関連組織である)
登録分類(対象製品)は、印刷物,書籍,雑誌,新聞等々で1997年に高齢化社会に対応し得る知識・能力の教授並びに地域社会に貢献できる人材に必要とされる知識・能力の教授という内容で登録し直されている。

最も新しい「生涯現役」の商標登録は、2014年12月 松崎製菓さん。もちろん分野はお菓子だ。

商標である意味は? 権利行使できるの?

もちろん、「生涯現役」という言葉を商標登録するのには理由があったはずで、普通は、商標登録することにより、言葉をブランド化して差別化したいという意図があったのではないかと思う。

でも現実には、「生涯現役」という言葉、ものすごく多く使われている。例えば 生涯現役セミナで検索しても大量に検索結果が出てくる。皆普通の単語として「生涯現役」という言葉をつかっている。

それでは、例えば商標権の行使ってできるのか?
興味があったので商標・特許を扱う何名かの弁理士さんに聞いてみた。

「画一的な判断はできないのですが・・・と前置きしながら、弁理士さんは
商標登録されていても、必ずしも訴求できないものがあります。
例えば一般的に使われている単語になった場合のように普通名称化すると商標が登録されていても、
商標権の行使が不能となり、第三者による無断利用を排除することができない場合があること。
”生涯現役”という商標は、そういう対象になる可能性はあります。
また今まで、何もしていなくて、突然権利主張するのも難しいのではないか。」
とのお話をされていた。

閣議決定で「一億総活躍で生涯現役社会の実現」という言葉が出ている時代だ。誰でも使うのが普通になっている状況と捉えるべきだろう。
商標権を行使するということより、ここまで、商標登録した言葉が、一般用語にまでなったことを喜び、皆にどんどん使ってもらう。そこに価値を見出すことが重要なのかと感じた。

「生涯現役」という言葉のもつ価値・力とは

ここまで広まった「生涯現役」という言葉だが、そもそもこの言葉にはどんな”価値・力”があるのだろうか。

例えば皆さんは「生涯現役」という言葉にどんなイメージを抱くだろうか。

実は先日、複数の方から、たまたま「生涯現役」という言葉について、同じ内容の質問を受けてしまった。
「生涯現役ってやはり”働くこと”に限定されているんですよね」

もちろん、生涯現役という言葉、使われる場面で様々な意味で使われていると思うのだが、働くことだけ指しているわけではなく、もっと広く、生きがいをもちながら社会とかかわっていくこと、だから趣味でもいいし、地域での役割でも
いいし、必ずしも生涯現役=”働く”ということではないはずなのだ。

でも、最初に来る「生涯現役」から来るイメージは「働かなくちゃ」というところに来る。
(正直、私も長く働いていける社会を創る活動をしている手前、生涯現役と働くを結び付けて発言したり、書いたりすることが多いのだが・・・)

生涯現役という単語、概念そのものは、明るい未来を切り開こうという感じなのに漢字4文字の構造と相まって、重ーい単語のイメージをかもしだしている。
いやいや「生涯現役」って働くことだけじゃないですよっていくら力説したいところだが

先ほどの弁理士さん曰く、
言葉の持つブランド価値・ブランドイメージは、創った本人ではなく、受け取る相手が決めるもの
その言葉にどんなブランド価値を相手の方がもつのか、それをイメージしないと単語そのものに価値を持たせようと
しても意味ありませんよってな話も同時にされていた。なるほど。

確かに、中身は似ている”管理栄養士”と”野菜ソムリエ”。コンテンツ的には似通っていても、言葉のもつ受け取るイメージは大分違うのと似ている。
ライフキャリアプランニングという言葉も、人生の計画という意味だが、どうしても働くという意味がメインにでてしまうのと似ている。

一般用語した「生涯現役」という言葉がもっと一般的となって”ずっとアクティブに”ぐらいなイメージになるともうすこし明るく力のある言葉になるのではないかと思うがどうだろうか。

【参加無料】幸せと健康をもたらす「人間関係力」 自分と周りの人たちの「トリセツ研究」 6月15日(木)ライフデザインセミナー 

 

1