IPAの人材白書2016の、フリーランスの働き方について調査を見て、ちょっと驚いた!
回答者属性を見ると50代以上が50.1%となっている。もちろん回答者属性なので、フリーランス人口の占める割合ではない。
調査の仕方があまりにも偏っていればだが、一応IPAの調査なので・・・まったく市場比率とはかけ離れているということはないだろう。
IT人材白書の調査側でも、おそらくこの比率にあれ?となったに違いない。このあとの文書はこう続けられている。
(全文そのまま載せちゃいます。)
中小企業庁委託「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編4」(2015年2月、
(株)日本アプライドリサーチ研究所)では、フリーランスの年代構成は、20代以下が1.1%、30代が10.9%、40代が36.3%、50代が38.3%、60代以上が13.5%であった。この調査は、「ITエンジニア」以外の職種のフリーランスも含むものであるが、今回の調査と同様の傾向となっている。
「もしかすると」現実にフリーランスの半分が50歳代以上となっているってコト!?。
正直、以外といるんだな!50代という感じ。
それでは、50歳代のITフリーランスってどんな仕事しているんだろうか。
実は白書では、仕事の内容について年齢別に表記はされていない。
30代~40代を抽出して、IT企業に勤める社員の仕事と比較している。
フリーランスは、「受託系事業」より、ウェブ関連の事業(「ウェブサービス企画、開発、運用」、「ウェブサイト構築、デザイン」)「コンサルタント他」の割合も高いようだ。
インタビューによると、20代、30代では、ウエブシステム開発、40代ではコンサルタントと年齢ごとに業務が異なっているとのこと。
50代以降もおそらくコンサルタントで働いている人が多いのでないかと推察できる。
白書では、フリーランスの年収についても調査されている。
もちろん、働く時間も異なるので、フルタイムで働く会社員と単純比較はできないのであるが、
数字を書くとこんな感じ(50代以上)
300万未満 31.2%
300~500万 29.8%
500~700万 19.7%
700~1000万 17%
1000万以上 2.3%
300万未満の層が一番多いが、単純に計算比較すると会社で働くほうが、4割程度多くなる。会社では年功が効くが、フリーランスではそうはいかない。
会社では、定年と超えて、再雇用となると、大幅に年収は低くなる。働ける期間と給与を比較したときにどうか、自分のライフプランとあわせてどうかというところが判断基準となるのではないか。
経済産業省の将来推計では、50歳以上のIT技術者の比率は、2020年には、22%、2030年には27%となる。
他の年代の技術者の比率がすべて減っていく傾向にあるのに対して、50代以降の層だけ増えていく。
シニアの活用も重要度を増す中、同様にシニア活用の難しさも指摘されている。
経済産業省の資料では、「新しい業務知識や技術への対応力が低い」、「コスト(人件費)が高い」、「生産性やパフォーマンスが低い」といった課題が上げられていた。
ITは技術の進歩や移り変わりは激しい。技術そのものでは、なかなか若いエンジニアと同じレベルになることはむつかしいだろう。
でも、対応力や理解力は必要だ。そうしないと市場ニーズについていけなくなる。
シニアは、”技術スキル”では勝てない、やはり”多くの経験”が強みだ。シニアは多くの修羅場をくぐって生き抜いてきているはずだ。
経験というと「昔はこうだったのに、今の若い者は!!」というもん切りで使うというイメージを抱くが、”経験”を、判断のポイント、考え方、全体の見極め方とかとなっていれば、若いエンジニアや、顧客の役に立ちうるのではないか
経験を他人が理解し、へぇーそんな考え方あるんですねーとか、なるほど!とか共感を得られるように高めれば、それはその人が持つ”固有スキル”になるのはないか。経験こそが、シニアが差別化できる、ユニークにできる要素ではないかと思えるのだ。
シニアにこれから求められるのは、実は”自分のスキル”の棚卸ではなく、”自分の経験・修羅場”の棚卸とそれを誰にでも訴求できるようにすることなのではないか。
参考文献:
IPA 人材白書2016
経済産業省 IT ベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業
働き方改革の残業規制の上限議論が固まってきました。
労働時間の抑制とともに、働き方改革の目玉として、働き方の多様化への対応として副業の解禁があげられています。
政府は働き方改革の一環として、企業で働く社員の兼業・副業を普及拡大するためのガイドラインを作成する方針で、ガイドラインによって企業に柔軟で多様な働き方を促す狙いがあるようです。
現在、副業を許可しているのは、大手では少ない。
副業許可は、サイボウズ、リクルートキャリア、ヤフー等々若い企業、ベンチャー企業がメインです。
昨年、大手では、ロート製薬で、副業を解禁しています。
こうした若手企業が、副業許可する理由は、多様な働き方を許容することによって、
より優秀な人材を確保したい、(もちろん外で自分を磨いて、会社でも才能を発揮してほしいという希望があるにせよ)人材募集していくための「差別化」であり、企業ブランドを高めていくために積極的に導入しているように思えます。
そう!「副業許可」のメッセージは、あくまでも若者・採用者向けになされているです。
今はひとつの会社で勤めあげるという生き方は(いまだにメインだとしても)絶対的でなくなっています。
ちなみに、年齢別離職率を平成16年と平成27年で比較してみました。若い世代ほど離職率はこの10年間で増加している。
20~24 | ~29 | ~34 | ~39 | ~44 | ~49 | ~54 | ~59 | ~64 | ~69 | |
平成16年 | 18.0 | 13.1 | 9.5 | 6.8 | 6.7 | 5.5 | 6.7 | 7.0 | 12.3 | 4.5 |
平成27年 | 24.9 | 16.8 | 11.5 | 8.0 | 7.5 | 5.9 | 7.3 | 7.5 | 14.1 | 10.1 |
そのために、働き方の多様化への企業のメッセージが採用の場においてもメリットとして伝わりやすいのではないでしょうか。
若者向き、採用向きの「副業許可」。でも副業許可が一番必要なのは、シニア世代ではないかと考えています。
会社の定年は60歳、運よく65歳まで会社に残れたとしても、あと5年、10年自力で働いていかないといけない
社会になりつつあります。
会社で新人がOJTで成長していくように、退社して自力で生活していくためには、準備が必要になります。
会社にいる頃から副業を通して、自分のスキルが市場で生きるようにしていく。それが安定的な長寿化社会の実現には必要なのではないでしょうか。
自分の会社でのスキルを外から眺め、外で試すことによって、自分のスキルアップにつながるでしょうし、そのスキルを会社の中でイノベータとしていかすこともできてくるでしょう。もちろん自立のイメージもで来てきます。
来る5年後、10年後の自立のために、働くことの選択肢を増やしてあげることが必要なのではないでしょうか。
もちろん、働くことだけではなく、NPOに所属して、ボランティアでもいいでしょうし、
セカンドライフのオプションを経験・準備を通してシミュレーションしていく仕組みがあればいいのではと思います。
定年後の雇用延長社員や定年前、役職定年者に、会社は2、3日勤務とともに、副業・兼業の選択を許可していく。
そんな制度がつくれるのではないでしょうか。副業が必要なのは、実は、シニア世代・定年まじかの世代なのです。
採用のために、副業許可して、優秀な人材をひきつける。会社にとって取り組む意味はわかりやすい。
では、会社をリタイアする人のために、そんなオプションを作ってあげる必要があるのでしょうか。
それは、企業OB/OGが社会で活躍することによって、企業価値を高めることに貢献できるではないかと
思います。
例えば、リクルート、ここには元リクルートで現在、社会で活躍している人材が多数います。
(USEN 宇野康秀さん、リンクアンドモチベーションの小笹芳央さん、元トレンダーズの経沢香保子さんとか、
私の知り合いの元リクは現在、ブルーのラリーバードマークの会社で社長をなさっています。)
リクルートは30代、40代で活躍している会社ですが、同様にOB/OGが社会的に活躍し、元〇〇はすごいとなれば、その作り出す企業価値は大きいはずでは。
もちろん、こうしたサポートをうけたOB/OGは退職後も会社のサポータとして、株主にもなってくれたり、
製品モニターにもなってくれる可能性も高くなるでしょう。
定年後に、社員が社会で活躍してもらうこと。それは大いに企業にもメリットがあるのです。
シニアにこそ、副業許可をしていくべきなのではないでしょうか。
参考文献
プレジデントオンライン:山口俊一「兼業・副業」はシニア社員と役職定年者から始まる
厚生労働省:雇用動向調査(平成16年度版と平成27年度版)
毎日新聞:働き方改革 兼業・副業の指針作成へ…政府
先日、セミナーで、伝える力の講演を聞いた。
この年になって、話すこと、聞くことにあえて意識してくることはなかったので、
ちょっと話を聞いて、なるほどね、目からうろこと思い、今回はブログに。
野菜ソムリエ。現在では名前もメジャーになった。2002年に長谷川理恵が資格取得してその後も芸能人が次々取得。この資格とるのに、最低でも15万円ほどかかるのであるが、現在では、会員数は58000人を超える。
「野菜をもっととる」という”情報”の観点で言えば野菜ソムリエと管理栄養士は似たようなもんだろう。
しかし、「伝え方」の観点からは大分異なるようだ。
野菜ソムリエの講座の講座は、「ベジフルコミュニケーション」の講座で始まる。
知識ではなく、「コミュニケーション」から入るのだ。
管理栄養士が、「食べ過ぎですね、もっと野菜をとってください、もっと運動してください」等、情報の伝達を(どちらかというとネガティブな指導)をメインにおいているのに対して、野菜ソムリエは、感動を伝えることを重点に置いている。
先ほどのコミュニケーション講座も”野菜の魅力や感動を正しく説明できる力、立ち居振る舞いや、目線の動きなど理論的なコミュニケーションを習得する”ために行っているのだ。
制服も決まっており、白いシャツに黒のエプロン、赤いチーフとなっており、情報よりも、生き様、情熱、感動を伝える、まさに「伝え方」をかなり重視しているのだ。
野菜を食べる方としても、ビタミン要素で教えられるより、野菜のおいしさとか、みずみずしさとか”野菜をとる楽しさ”と一緒に伝えてもらったほうが、採りたい!と思いますね。
野菜ソムリエ制度の創立者は、有機農法の提携運動が社会的にいくら正しいことを訴えても広がらないのを見て、伝え方や、皆が一歩踏み出しやすい環境を作る方法を考えたそうです。
ついつい、情報や理論を伝えることに集中してしまう、精緻な理論は重要ですが、それだけでは、いいねはもらえても参画まではハードルが高いですよね。
これは2014年のNHKのクローズアップ現代で放送されたもので、ハーバード大学のマーシャル・ガンツ博士の理論。
マーシャル・ガンツ博士は元は社会運動家で、オバマ前大統領の選挙参謀としても活躍、社会運動を広げていくために伝え方として「セルフ・アス・ナウ」という伝え方を提唱しています。
運動を広げるためには、人の心に火をつける物語が必要で、そのための3つの要素。
セルフ:自分の物語→なぜこの活動をしているのか
アス:私たちの物語→価値観を相手と共有する
ナウ:今の物語→なぜ今しないといけないのか
こうしたストーリをもとに、価値観を感情へと高め、行動(コミットメント)につなげなさいと述べています。
野菜ソムリエとセルフ・アス・ナウともに、伝え方の重要な要素は”感動を伝えられるか”という点。
改めて、「伝え方」というものを考えてみたいと思います。
参考文献
「野菜ソムリエという人を育てる仕事」 福井栄治 幻冬舎文庫
NHKクローズアップ現代 http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3448/1.html
働き方改革が、結局残業時間MAX100時間認める認めないにすり替わっているようだ。(yahooニュースより)
これでは、今までと何が変わるのか、これは改革と呼べるのでしょうか?
だいたい、こういうお題目は、最初は崇高な理想や目標を掲げるんだけど、進めて行くに従い、矮小化されたり、目的と手段が変わってしまう、あげくのはてには忘れ去られるということがよくあるので、そもそもの「働き方改革」の目的とは何だったのか思い出して見ます。
働き方改革は、「一億総活躍プラン」の中で立ち上げられた政策で首相官邸のHPには下記のように
記載されています。
“一億総活躍プランとは、我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、
「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の
「新・三本の矢」を実現するための取り組みプラン”。
働き方改革は、「一応活躍プラン」の実現に向けて横断的な課題として位置付けられているのです。
多様な働き方が可能となるよう、社会の発想や制度を大きく転換しなければならない。そのための実現ポイントは
(1)同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善
(2)長時間労働の是正
(3)高齢者の就労促進
となっています。
少子高齢化を迎えた日本が経済成長を持続させていくためのプランでそのために「働き方改革」という
制度変更をしていかないという話の流れです。
(2)の長時間労働については、
“長時間労働は、仕事と子育てなどの家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や、
女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参画を阻む原因となっている”
”長時間労働の是正は、労働の質を高めることにより、多様なライフスタイルを可能にし、
ひいては生産性の向上につながる。”と述べています。
ちょっと単純図式化すると(粗くてすいませんが)
少子高齢化による経済縮小化を防ぐ→働き手(活躍する人)の人口増と出生率の向上を図る。→仕事と子育てが両立可能なライフスタイルへ→長時間労働の是正という流れになるのかと思います。
(働き方改革の目的は生産性向上かと思いましたが、改革の結果・効果と位置付けられているようです。)
現状の労基法上は、週40H勤務で、皆さんご存知のとおり、36協定を結べば、残業時間の延長をすることができます。
とは言っても36協定でも残業時間の制限はあり、週15時間、週45時間、年間360時間までとなっています。
但し、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない事情が発生すると予想される場合に特別条項付き36協定を結ぶことができ、さらに上限を超えることができるということになります。
(私の昔いた会社は上限360時間は超えていたので特別条項付き36協定だったことを今理解。)
今回政府が決着させようとしている月60時間、特別な場合は月100時間という数字を36協定の上限決めただけ
ということになってしまっています。この数字であれば、ほとんどの企業は、順守できるのではないかと思います。
長時間労働是正の目的は、女性の活躍進出を後押しする、夫婦で家庭を分担することにより、少子化にもはどめをかけるということですから、今回の内容では、後押しする政策に全くなっていませんし、政策的にも経済的にも全くインパクトを感じません。
少子高齢化が進む中、女性や高齢者含めて、経済成長に参画し、その経済成長享受していくことが、
日本の将来のひとつの方策でしょう。そのためには、雇用形態の多様性が必要だと思います。
(もちろん雇用の多様性ですべて解決できるわけでもなく、待機児童の解消の問題もあるでしょうが)
その多様性を阻むハードルを下げるために、長時間労働の是正というテーマがあったのに、非常に残念な結果です。
この制度は雇用の多様性の担保となる重要な政策です。
現状日本では、正社員と非正社員の給与の差は、100対65、ヨーロッパでは75~82程度、アメリカはなんと30(正社員の3分の1しかもらえていません)となっています。
この比率が狭まれば、正規、非正規の区別は要らなくなるかもしれません。
仕事の選択としてもそれこそ多様な形態で働くことが可能になるでしょう。
もちろん年齢も関係なくなるので、現状働いている人にとっては影響が大きいのも事実です。
(EUでは、雇用差別の禁止として、男女や雇用形態含めた同一(価値)労働同一賃金が定められているようです。)
同一労働同一賃金は実現にさらにハードルが高いとなると、どう紆余曲折していくのか、プラン上には「などによる実現」と記載しているし、今後どう進んでいくのか注目していきたい。
同一労働・同一賃金や、長時間労働の是正は、多様な雇用形態を実現していくためのベースとなる施策。
是非長期政権だからこそ、今後10年、20年の日本の成長力を担保できるような政策を検討・実現してほしいと思います。
参考文献
首相官邸HP 「一億総活躍プラン」
独立行政法人経済産業研究所 パート賃金格差 何が問題か
国立国会図書館 欧州に見る同一労働同一賃金
今回は、「ライフキャリアデザイン」についてお話します。
通常「キャリア」と聞くと、職歴だったり、役職だったり、はたまた転職といった「働くことに関連して」使われることがほとんどですが、「ライフキャリア」における「キャリア」とは、仕事だけでなく、家庭生活、地域社会、趣味、ボランティアなど個人の生活などを含めた、生き方そのものを対象としています。
アメリカの有名な教育学者である、D.E.スーパによると,キャリア=生涯過程を通して、「ある人に演じられる諸役割の組み合わせと連続」 と定義し、ライフキャリアレインボーというキャリア理論を提唱しました。
人には誕生から死まで一生涯にわたって果たすべき様々な役割が存在していること。
キャリア開発を、この役割と時間という2つの次元でとらえることを提唱しています。
「ライフキャリア」とは人生における役割であり、「ライフキャリアデザイン」とは、人生そのものの役割をプランニングするということです。
ではこのライフキャリアデザインは、いつ”デザイン”するのでしょうか
神戸大学の金井壽宏教授は、節目の時期にデザイン(設計)し、節目以外ではむしろドリフトし(流され)その適切なバランスの中でつくっていくべきだと説明しています。
節目とは当ブログ1回目でトランジションというお話をしましたがトランジション=節目ということになります。
では、節目とは人生上いつかということですが、金井教授は4つの契機を上げています。
1.危機:焦燥感や行き詰まりを感じるとき、病気や失業
2.メンターの声:先輩や上司、身内などの声
3.ゆとりや楽しみ:調子がいい時に自分を見直すことができる。企業が好調なときに経営改革するようなもの
4.カレンダー、年齢的なもの(入学、就職、定年等々)
実際、上の4つの契機に当てはまる節目は人生多々ありますが、その節目が人生における長期的な変局点かどうかというのは本人の受け止め方次第に関わってきます。
そして50代というのは、特に会社等に勤める者にとって定年を控え、会社を卒業した後に送る人生を
考える時期にあたります。
まさに自分の人生のライフキャリアを考える節目のひとつになるのではないでしょうか。
それでは以下ライフキャリアデザインの進め方:流れを見ていきましょう。
ライフデザインの流れは大まかに言って、3ステージとなります。
自分の過去を振り返りながら、自分の強み、弱み、自分の価値観や、パーソナリティを改めて認識します。
ツールとしては、ライフラインチャートを使いながら、自分の過去の経験から、自分の強み、弱み、価値観が何かというものを探っていきます。
下の図では、イベントとともに成功体験、失敗体験を記載していますが、強み、弱みを成功、失敗と結びつけて考えることにより、強み、弱みが本当に影響を与えているものなのか理解しながら認識することができます。
同時にライフイベントを通して、自分がどういう人の影響を受け、何に価値を見出してきたのかを発見するきっかけになります。
自己アセスメントの目的は、自分が何が得意で、何をしたいのか、何をやったときに一番価値を感じるのか、キャリア目標を設定するうえでの基盤となる自己イメージを発見するところにあります。
ライフラインシートが過去の自分から自己パーソナリティを浮かび出すのに対し、未来の自分から見て今の自分がどうあってほしいか、今の自分にどうアドバイスするか考えてみるのも、キャリアを決めるうえで有用な方法です。
実際、「80歳の自分からの手紙」という方法があり、80歳の自分が今の自分を見たらどういうアドバイスをするのか手紙風に書いてみるという手法があります。
特に人生の半分を過ぎた50代には、80歳の自分が遠い未来には見えないでしょう。自分の人生の意味や価値を考えることができるいい方法でないかと思います。
このステップでは、過去の職業経験や、教育・トレーニング経験をもとに、スキルの観点、自分のしたいこと、自分の価値観をもとにした、問題意識や課題を出しながら、キャリア目標設定をしていきます。
まさに「can,wants,must」の3つが満たされるキャリア目標を探すというステップ。
キャリアインベントリーシートを使い、今まで行ってきた職務、役職、会社、プロジェクトの内容、実績とともに、蓄積したスキル、経験等をまとめていきます。
過去の職務棚卸に対して、MUST(社会的に求められているサービスやもの)、WANTS(やりたい領域)を合わせて、キャリア目標を設定します。
キャリア目標ができたら、現状のスキルや環境、課題などを洗いだし、行動計画を作ることになります。
1年後、3年後、5年後、10年後等4フェーズで区切って行動計画つくることで、より大きく自分のキャリアを捉えることができると思います。
以上、ライフキャリアデザインについて説明してきました。
人生90歳以上まで生きるとなると、定年後、25年以上過ごしていく期間があります。
50代で自分のキャリアをデザインするというのは、しんどいことではあると思いますが、
人生を立ち止まって見直すいいチャンスでもあると思います。
ウイリアムブリッジズのいう「ニュートラルゾーン」であり、自己内省と人生設計のチャンスなのです。
自分は本来なにをしたいのか、何が好きなのか、50代すぎて、世の中の酸いも甘いもかみ分けられるからこそ、リアルに自分の人生を見直せられるのではないかと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ライフキャリアデザインセミナー受付中(参加費用無料 4月20日 19:00~)
参考文献
キャリアデザインハンドブック ナカニシヤ出版
働くひとのためのキャリアデザイン 金井壽宏
前回のお話では、
・シニアの職業観が年齢が増えていくに従って、70歳以上も働きたい意識が強くなっていること。
・現状では、希望数どおりには働いていない。なんらかの選別が働きます。
というお話をしました。
今回は、そうした現状をもとに、シニアが長く働いていくためのポイントをお話します。
長い間会社で働いてきて、様々なスキルを皆習得してきているのは確かだ。
しかしながら、自分の所属する会社の考え方やルールでのスキル:その会社の中でしか通用しないスキルになっていないだろうか,またスキルがあったとしても、公にアピールできるものとなっているだろうか。
会社の中では、おおむね「スキル」で自分を説明するより、肩書・ポジションで説明したほうが、何する人かわかりやすい。
だから、転職してきている人は別として、自分の売れるスキルはこれ!って明確には出しにくいですよね。
競合企業の分析等でSWOT分析とかはしますけど、自分のスキルのSWOT分析や棚卸は、
やるタイミングがあまりありません。あくまでも達成度評価で棚卸までいきません。
今後、長く、働いていくためには、自分のスキルを見極め、スキルを「市場価値」に高めていく。
今のスキルを磨いたり、新し知識、能力をつけるような準備が必要になります。
例えば、トヨタなどでは、「トヨタを辞めても1000万プレーヤをめざせ」ということで、トヨタを出ても稼げる専門性をつけなさいと専門性教育を奨励しています。
前回ブログの「ライフシフト」でも、人生の3ステージ制(教育、会社、引退)は終わり、マルチステージ化して学びなおすステージが出現すると言っていました。
自分のスキルを市場価値へ高めるためには、
「一体自分の「強み」、「弱み」はなんなのか棚卸をする。自分を知っている回りの人に聞いてもいいでしょう。
その強みがわかったら、そのスキルが「市場価値」として通用するのか試してみる。
例えば休日副業しながら確かめてみるという方法が考えられる。
試しながら、自分のスキルを成長させていくそんなアクションが求められる。
自分の強みたるスキルを上手く伝えていくこと:それをうまくアピールすることだったり、「セルフブランディング」していく。
このアピール、日本人は苦手だ。
(私も、苦手で、面接やプレゼンで自己アピールが激しいのを見るとこの人の経歴はどこまで脚色かかっているのか勘ぐってしまうタイプです。)
会社の肩書や役職がない状況の中で、信頼を得ていく、差別化していくためには、こういうスキルだったら私ですよと、自己をブランディングしてく必要があります。
このネット社会でやはり見ず知らずの人と会ってなんらかのリレーションが発生する場合は、SNSを調べますよね。
SNSや、ブログはその人がどんな人か知るのにアクセスしやすい手段です。
パーソナルブランディングの第1歩は、SNS、ブログ、メルマガ等を通じて、自分の「テーマ」で発信していくこと。
(もちろんこのブログも私にとっては、その一環なのですが・・。)
SNSは、できれば個人用、ブランディング用を分けたほうがおすすめです。
自分のブランディングテーマと同じ流れに個人的な写真や自分の顔の写真ばかりだと人にとっては評価を下げる場合もありますからね。
今では、SNSを通して多くの人とつながれようになりました。
「ネットワーク」を築きやすくはなったが、重要なのは、自分が働くときに助けになってくれる人:仲間だ。
やはり多くの人とのネットワークを通して仕事を頂いたり、一緒にやったり、助言をもらったりして初めて仕事として成り立つ。
現在私のビジネスを支援してくれている友は、高校の同期だったり、元の会社の同期だったりしている。
以外にひょんなことからこのネットワークが生きてくる。
大きな会社にいると名刺交換は多くするけれども、長くお付き合いできるのはごく少数だ。会社を離れて個人になったとしてもおつきあいできるような人脈があれば、それは財産となる。そのためには、今まで培った培ったネットワークを磨いておく必要がある。
スキル、プロモーションが、関係構築ができる、その基礎となるのがこの人間力だ
人間力とは、Wikipediaから引用すれば、社会で生きてゆくために必要であったり、望ましい、総合的な力であり、
構成要素の例として下記6つを挙げておく。
・信頼を得る力
・真実を見つめる力
・逆境に向かう力
・物事を完遂する力
・成長を求める力
・自己を超越する力
「素」の自分となって、謙虚さをうしなわず、客観的に見なさい、努力しなさいってことだろう。
こういう「人間力」があって、信頼感を得て関係構築ができ、長く働いていけることとなる。
以上4つのポイントについて述べてみました。長く働くために必要な要素はいろいろな面から様々なポイントが出てくると思う。
重要なことは、自分のキャリア、特に終盤のキャリアは、会社まかせではなく、自分で計画、選択していかないといけないということだ。
そうした意味で、キャリアプランニングも(シニア世代になると)ライフキャリアという言葉になってきている。
人生いつまでもキャリアプランニングが必要なのだ。
次回はこのライフキャリアについて説明していきたい
参考文献
「リーダの人間力」ヘンリークラウド 日本能率協会マネジメント
「ワークシフト」リンダ・グラットン プレジデント
「Me2.0」ダン・ショーベル 日経BP社
「40歳からの会社に頼らない働き方」ちくま書店