IT業界の人材不足を起こすもうひとつの要因は、
プログラマ→システムエンジニア、そしてプロジェクトマネージャ
といった直線的なキャリアパスの存在だ。
人材不足をもうすこし職種別に細かくみていこう。
『IT人材白書2017』から、職種別の情報処理・通信に携わる人材数から職種割合を
見てみる。(人材白書上は、IT企業、IT企業以外と分けて記載ですが、合算して記載。)
日本
| 職種 | 人数 |
| システムコンサルタント・設計者 | 552,000人 |
| ソフトウエア開発者 | 304,100人 |
米国の状況と比較してみると
米国
| 職種 | 人数 |
| システムコンサルタント・設計者 | 1,070,000人 |
| ソフトウエア開発者 | 1,544,900人 |
なんと日本では、ソフトウエア開発を専とする開発者の方が設計者・コンサルより
少ないとは改めて驚いた。
(ちなみにシステムコンサルタント・設計者に集計されている職種は、
システムアナリスト,情報ストラテジスト,システムコンサルタント,
ビジネスストラテジスト,ISアナリスト,システムアーキテクト,
情報処理アーキテクト,ISアーキテクト,情報処理プロジェクトマネージャ。
それ以外がシフトウエア開発者だ。)
もちろん、分類の仕方や範囲によって数字は変わるものであるが、
”ソフトウエア開発を専として従事している”と言える人が少ない
ことは確かな事実なのかも知れない。
現実当社に毎日回ってくる人材募集の内容を見ても、
ほとんどがプログラムスキル保有者だ。
なぜ、ソフトウエア開発者が少ないのか。そのひとつの理由は、ソフトウエア開発者として
従事していくる期間が短いからだ。その期間はスキル的な問題で短くなっているわけでは
なく、構造的にソフトウエア開発を専としてやれる期間を短くせざるをえない状況に
あると言える。
その原因が職種に伴う単金差とそれに”紐づく”直線的なキャリアパスの存在だ。
各職種の平均年齢を米国と比較してみる。
職種別平均年齢
米国
| 職種 | 平均年齢(中央値) | 備考 |
| Computer and information systems managers | 45.5歳 | ボリュームゾーンは、45-54歳 |
| Computer systems analysts | 42.4歳 | 〃 25-34 |
| Computer programmers | 42.6歳 | 〃 35-44 |
| Software developers, applications and systems software | 39.6歳 | 〃 25-34 |
日本
| 職種 | 平均年齢 | 備考 |
| システムエンジニア | 36.9歳 | ボリュームゾーンは、30-39歳 |
| プログラマー | 32.1歳 | 〃 25-34歳 |
中央値と平均年齢は比較できないものであるが、ボリュームゾーンから見ても
日本のプログラマやSEの年齢が比較してかなり若い=寿命が短いことがわかる。
プログラマのボリュームゾーンに至っては10年違うのだ。米国と比較して
プログラマの従事期間は5,6年少ないのではないか。
プログラマとしての従事期間が短くせざる負えない数値がもうひとつある。
日米の情報処理・通信に携わる人材の年収を比較してみた。(『人材白書2017』より)
日本
| 年収 | |
| 全就業者 | 4,892,300円 |
| システムエンジニア | 5,923,300円 |
| プログラマ | 4,083,500円 |
米国
| 年収 | |
| 全就業者 | 48,320ドル |
| アプリケーションソフトウェア開発者 | 102,160ドル |
| プログラマ | 84,360ドル |
米国の給与の高さにも驚くが、日本のプログラマの平均給与は、全就業者平均よりも低い状況にある。
SEとの給与差は、1.5倍だ。プログラマは否応なしに皆システムエンジニアを目指すことになる。
さらに、プロジェクトマネージャへ。
会社としても、プログラマをどんどん卒業させていかないと”売上拡大”は難しい。
会社もエンジニア自身もプログラマ→システムエンジニア→プロジェクトマネージャといった
キャリアアップルートを目指すことになる。しかも優秀な人ほど早く”ソフトウエア開発者”から
卒業していくことになる。
今PM人材募集の年齢を見ると30代、40代。プログラマ、エンジニアとして”手や頭を動かすのは”
現実、10年~15年程度となる。大手IT企業だともっと短いのではないか。
例えばプログラマとしての寿命は5,6年ぐらいではないのか。
こうした一本調子しかないキャリアアップが、ソフト開発技術者不足に拍車をかける。
IPAはキャリアパスの例としてアプリケーションエンジニアとして深めていくか、
異なる職種(PM)に行くか縦・横型のキャリアパスを示している。(図参照)
しかしながら、多くの企業は形式的にはともかく、”実際上は”直線的なキャリアパスを
選択している。(せざるを得ないのだ)
そのⅠにおいて、日本と米国のIT人材の年齢構成の比較をもとに、日本のIT人材の
年齢構成が”45歳定年モデル”を中心に成り立っていること、米国と比較しても、
若い層に偏っていることを示した。
キャリアパスについても、まさに”45歳モデル”を中心になりたっているのだ。
IT人材不足を解消していくひとつの方法は、従事人口を増やしていくことである。
つまり、それぞれの職種の寿命を延ばしてあげることで、活用できる人口は増えてくる。
45歳モデルを55歳(その年齢まで現場で使う)へと10歳延ばせば、2割程度活用できる労働力
を増やせることになる。今や45~54歳ゾーンがボリュームゾーンとなっているので影響力は
大きいのだ。
それぞれの職種の寿命を延ばして人材を活用していくためには、”今までの”仕事のやり方や
キャリアステップを変えていく必要があるだろう。
新しい技術への対応していくためにも、職種寿命を延ばしながら付加価値を高めていく
ことが求められていると感じる。
今までの”体力”技でのプロジェクト運営を、各職種の付加価値を高めながらどうコーディネート
していくのか。新しい技術と過去の”経験知”を活かしたパラダイム変換が必要なのではないか。
参考文献
・Employed persons by detailed occupation and age
https://www.bls.gov/cps/cpsaat11b.htm 合衆国労働省労働統計局
・総務省統計データ 2016年度
・『人材白書2017』 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
・『ITスキル標準 V3』 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
IT業界の人材不足:2030年には4割を超える規模が不足にIT業界では、人材不足が顕著である。そしてこの傾向は拡大している。
経済産業省のモデルでは、IT 投資の伸び率を最も手堅い年率1.0%と仮定した場合でも、2030 年には
41 万人のIT 人材が不足すると予測され、41 万人の不足は、現在のIT 人材の4 割を超える規模となる。
その対策として、シニアIT 人材や女性、外国籍人材等の多様なIT 人材の活用によるIT 人材の量的確保
に加え、技術イノベーションによる革新的な生産性の向上、人材流動性の確保等による解決策を説いている。
ところが、人材不足という状況において、こうした対策にある取り組みはまだまだだ。
ちなみに私の会社のミッションは、シニアのエンジニアの”経験知”を使いながら、システム開発の効率化や品質向上、活用推進をしていくことだ。シニアのエンジニアが自分のスキルを使いながら、長く働いていけるようにしたい。
最近営業で、様々のIT企業様に訪問すると、だいたい同じ会話になる。
「うちも案件が多くて、人材不足なんだけど、せいぜい行けて45歳ぐらいまでなんだよね」
「それって、プロジェクトのすべての職種でですか?」
「マネージャ、リーダから開発者まですべて」
最初はあまり気にならなかったが、ほぼすべての企業様で言われる。
こうしたIT企業様送られて来る求人紹介も40代までの年齢制限付きだ。
年齢制限が付く理由は、元請けのプロジェクトリーダが40代で、それより上のメンバはつけないでと
依頼されるのが理由らしい。
求人を選択する場合の優先度合いは、スキル、経験その次に年齢だが、スキル・経験があれば
年齢ハードル超えられるかというとそうもいかない。
必須条件のひとつだ。
もちろんこうした年齢制限は”公”には認められていない。
請負はもとより、派遣であっても、年齢を条件に入れたり(60歳以上の年齢制限はOK)、事前面談
したりは”公には”いけないことになっている。
こうした”非公式”な年齢制限は、もちろんエンジニアに限った話ではない。
広告業界でも、50歳超えたリーダは、広告会社から商売を取ってこれないそうだ。
やはり顧客リーダと同世代でないと商売取れないので、裏方に回らざるを得ないという話を聞いた。
自分自身が発注者だったときには、特に年齢制限をつけた記憶もないが、すべての企業様で、
横並びで年齢制限を付けているのを見ると、これも下請けならではの、いわゆる”忖度”なのかと
思ってしまう。
人材不足で、案件がこなせないという状況の中で、新たな活用が進まない状況で、少子高齢化が確実に
今後進んでいく中でも、社会として年齢不寛容社会が広がっているような感じがしてしまうのである。
もし45歳までが上限だとしたら全体従事者の中でどのくらいの割合の人でこなしていかないといけないのか。
厚生労働省が平成27年度国勢調査の情報通信事業者の従事者数から推定して算出してみる。
すると、~44歳までの従事者人口は、~64歳までの従事人口の62%。全体人口の6割しか前線に立てない。
なお、同じ数値を平成22年度調査を見ると人口の70%であった。5年で8%縮小している。
平成33年(2020年)になると、”使える”エンジニアの数は半分切ってしまう。
ここにIT人材白書 2017の日本と米国の情報処理・通信に携わる人材の年齢構成を算出している数値がある。
(日本:2010年、米国:2015年と比較年は違うが)
| 全就業人口割合 | 日本 | 米国 |
| 20~24歳 | 6.4% | 9.4% |
| 25~34歳 | 19.0% | 22.0% |
| 35~44歳 | 23.0% | 21.0% |
| 45~54歳 | 20.4% | 21.9% |
| 55~64歳 | 19.9% | 16.8% |
ほぼ全就業人口の年齢比はあまり変わらないが、情報通信産業就業人口では、
| 情報通信産業就業人口割合 | 日本 | 米国 |
| 20~24歳 | 6.4% | 5.5% |
| 25~34歳 | 35.5% | 26.4% |
| 35~44歳 | 34.5% | 28.8% |
| 45~54歳 | 18.3% | 23.1% |
| 55~64歳 | 4.8% | 13.3% |
米国と比較しても、45歳~の落ちこみ度が大きく、年齢構成に大きな偏りがあるのだ。
今後はAI、IOT、ビッグデータと新たな技術に取り組んでゆかないといけない。
こうした新たな技術こそ、若い人に取り組ませるべきではないだろうか。
すべてのプロジェクトが45歳程度を上限に設定して構成していたとすれば、無駄に非効率ではないか。
やはり、プロジェクトに求められている能力や、技能や”人間性(コミュニケーション能力)”で選択すべきで、
年齢で制限すべきではないと思う。少なくとも入口排除は止めるべきでは。
(おそらく、この”人間性、コミュニケーション力”というところで年齢制限がついているのではないかと思うが、そこは今後展開していきたい。)
そして、もうひとつ年齢制限と相まってIT業界での人材不足を起こしている原因があると考えている。
それを次回にお話ししたい。
参考資料
経済産業省 2016年 IT ベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業
厚生労働省 平成27年度国勢調査
独立行政法人 情報処理推進機構 IT人材白書2017
4月、5月とシニアライフデザインセミナーを開催している。
ライフデザインといっても”お金”の話ではない。
主に、どう生きていくかという”人間力”のセミナーだ。
このセミナーをやっていると
毎回講師セミナーからうける気づきの他、参加メンバからの気づきにハットさせられる。
40分ほどの講師からのセミナーのあと、コーヒーを飲みながら”お茶べり”と称して、トークタイム。
メンバーから講師への質問やら、出来事等色々話をメンバごとに話をしていくのだが、
ここが”ネタ”になって、さらにセミナーの内容がさらに深くなる。
第1回目のテーマは、「自分の賞味期限を延ばす人間力」。
様々な署名人の事例をもとに人の魅力ってどこから来るのか。そして”与える”ことから来る人魅力について講師が解説。
これを受けてある参加者から最近”与えられた”エピソードを話された。
この方、先日友人に誘われて、初めてAKBの握手会に行かれたそうだ。
もともとAKBにも、アイドルにも興味もなく、友人に誘われの人生初めての握手会。
一応予習してメンバの名前を憶えて会場入りされたそうだ。
列にならんで、いよいよ握手の順番に。ところが目の前にいたのは研究生。もちろん予習の範疇外。
そして握手へ。名前も憶えてこなかった研究生との握手。ゆっくりと手を出し、小さな手を握った瞬間、ビビッと電流が腕から体に突き抜けたそうだ。
重要なのはこの後。この方、この握手会の後からからラッキーなことが立て続けに起き、モチベーションがかなり高くなったそうだ。この方、たまたま友人に連れられて行った握手会。そこでエネルギー”与えられて”いいことを”引き寄せて”しまった。
シニアになると、”モチベーションがでない”とか”やりたいことがみつからない”という悩みをよく聞く。
この話を聞いて、実は気持ちが上昇するようなワクワク感がそもそも無くなってることが原因なのではないかと思っている。
年齢を重ねると、どうしても予想範疇内で生活する(できる)ようになってくる。もちろん日々身の回りで事件は起きる。緊張することはあっても、でもワクワクすることは少なくなっているのではないか。
シニアが”生き生き”としていくには、このワクワク感が必要なのではないか。どうしたらワクワクするのか、それは”ちょっとした冒険をする”ということだろう。冒険の度合いは、個人によって違うだろう。知らない街を歩くでもいいだろうし、いったことのない美術館にいくとか、”自分なりのちょっとした冒険”をもっていることが”生き生き”生きるコツのひとつかも知れない。
2回目は、「自分を次元上昇させる出逢い力」。セミナーの中で”あなたが影響を受けた人男女8人づつ上げる”ワークショップがあった。大方のメンバが、親、学校の先輩、友人、会社の同僚、先輩、上司を上げる中、お一方、自分のご子息を上げられた方がいらっしゃった。お二人お子様がいらして、同じ育て方をしてきたんだが、全然異なる成長をしている。その成長を長く見つめながら、自分が大いに成長したとおっしゃっていた。
確かに自分に影響を与えた人間は、必ずしも同僚、年上だけではない。
しかもこの方、教えてもらうことによってでなく、自分が教えることによって自分があらたな発見・成長があるものだなと気づいている。まさに目からうろこだ。
どうしても自分にとって重要な人間というと、目上、同僚を考えてしまう。でも、同様に自分を取り巻く若い人も同じくらい重要なはずだ。若い人から学ぶこともあるし、この方の例のように”教えることの”反射で自分が気づくこともあるだろう。
どうシニアが若い人と付き合っていくのか。上司・部下、年上年下といった立場をとりはらってお互い学ぶ相手として向き合う。こうして向き合えば、もっとシニアも”学びながら”成長を感じることができるのではないだろうか。
この2つ、話の視点は異なりますが、両方とも偶然にもシニアにとって自分が成長していく、エネルギーを得ていくために”若い人”がキーになっているお話でした。
連続セミナもあと1回。次回は「幸せをもたらす人間関係力 自分と周りの人達のトリセツ研究」次はどんな新たな気づきが出てくるだろか。また楽しみである。

先日、55歳からのサバイバル術というセミナーに出席してきた。
この中でサイボウズ社の野水克也さんのお話がおもしろかったので、記載します。
野水克也さんは、現在サイボウズの社長室フェロー。もともとテレビカメラマンを8年。家業の建設業の経営を5年後、2000年にサイボウズに入社されている。
サイボウズ社自体、”副業禁止は禁止”というぐらい副業推奨していて、最近では”副業として採用”までしている。
野水さんも「働き方改革」というキーワードで、いろいろなところで講演されているようだ。
野水さんの副業は、もともとの仕事だったカメラだ。今では、クロマキー技術を使ったり、ドローン撮影など、新しい機材や技術を取り揃えてプロ顔負けらしい。
そもそもは、2005年に10年ぶりにカメラに触って写真を撮り始めた。最初は会社の広報補助でということで実施し始めたそうだ。補助として再開したカメラだが、周りのプロのカメラマンの撮り方を見て、技術的にはそれほど違いはなかったと感じ、野水氏のカメラマンの”副業への道”が始まる。
最初は、補助から、ちょっとしたお金を謝礼ベースで受け取る形に。やはりプロ並み?のお金は撮りにくかったし、請求もしにくかったと語る。
こうして、ちゃんとしたお金がとれるようになるまでに”5年”ほどかかったと述べる。
さらに野水さんは、稼いだお金をすべて機材につぎ込んでレベルアップを図る。どんどん新たなことに挑戦して、自分でないとできない得意技に。こうして、現状では、社長室長をこなしながら、空いた時間の副業で年収の10分の1ぐらい稼いでいると語る。
野水氏は、自らの体験から、”副業”をするには、キャリアチェンジの時間=「学習」が必要だと説く。
そのために、現在の会社での「働き方」を考えて、長くいることをメインにするのを変更すべきと説く。長くいることで”学ぶ”時間がなくなってしまいますよ。
副業の選択の基準としては3つあげていた
1)自分の好きなことを選択する。お金だけのためではなくて、自分の好きなことを選択することにより掘り下げられ、長く続けられる。元テレビカメラマンだった野水さんがお金ちゃんととれるまで5年かかっている。長く続けない限り、難しいということだろう。
2)複数スキルで働く 単一スキルだけでは、専門にしている人には勝てない。そこは複数スキル(例えばIT+農業やIT+経営)で売り込むことによって、チャンスが広がるということだろう。スティーブジョブスの言葉に”創造とは結びつけること”という言葉もある。副業で何か新たなものを創らないといけないという考え方でなく、何か”結びつける”ことそれ自体が創造。だから、学習をする上においても、自分の現在あるスキルに何をプラスアルファして、差別化をするのか選択するということだろう。
3)高単価、省力ビジネスを選択する。
やはり、シニアになると体力は落ちてくる。労働集約的な仕事を選択できませんという話。
”副業”である以上、本業への影響は最小限にしないといけない。本業に影響でれば評価は下がるし指導も入る。これは、別に副業にかかわらずである。だからこそ、体力でお金をかせぐものは、副業には選択できない。
でも、現実、シニアが選択するときに、高単価、省力ビジネスを選択できるのかということだ。 高単価、省力ビジネスを選択するためには、複数スキルで差別化が必要だし、そのための学習が必要。学習してお金になるまでするには、長く突き詰める必要がある。
そのためには、自分の好きなことを選択する必要があるという3点はすべてつながった話なのだ。
野水さんは、副業は、”自己防衛”のため必要だと説く。
「会社は永遠ではない、だから個人としても自己防衛が必要だし、会社としても永遠でないことを前提に社員が働いてもらう必要:会社にしがみつかない働き方をしてほしい」と述べる。
野水さんが、サイボウズに入社したときは、数十名の会社だったそうだ。離職率も高く、ブラック企業だったと。もちろん個人的にも、自宅の建設会社も経営して中小企業のある意味”もろさ”を身をもって経験しているからこそ、言える話かなと思える。
こう思っているからこそ、”副業”に真剣になれるのかも
定年制度がある以上、どんな人にとっても、副業の準備は必要と思われるが、
野水さんの例を聞いて、「複業」を経ている人は強いなとも感じた
日本の社会は、ひとつの会社で勤め上げる価値観が過去、強い社会だったと思う。
でも、野水さんの今までの人生の流れを見ていると「複業」経験していることって働く選択肢を考えたら”強いな”と思う。
多くの方は、野水さんの例にはいかないのではないか
今シニア例えば50代以上の方は、やはり”会社一筋”で、”複線”経験している人は少ないのではないか。
では、そうしたシニアはどうしたらいいのか?
やはり野水さんの副業選択の基準は重要だ
①好きなこと、長く続けられることを選択すること
②複数スキルを身に着ける
③高価値、省力ビジネスを選択する
この基準で”自分が情熱を傾けられること”を見つける心の準備をまずするということではないだろうか
やはり、自分なりの”副業”を探す、決めるにも時間はかかるということだ
自分で考えて、自分なるの”副業”を決めるタイプの方もいるだろう:自分なりの内なる声を聞く
回りの人にアドバイスも求めながら、決めていくこともあるだろう
もしくは、偶然の出会いや出来事によって決めていくこともあるだろう。
心の準備がないと、すべてが過ぎ去るだけになってしまう
準備ができていれば、偶然の出来事に対しても”新たな選択”をできるようになる。
副業を確立するためには時間がかかる。だから準備も必要なんです。
もちろん、副業を決める上でも時間はかかる”ということだ。
だからこそ、心の準備をしながら、”副業”を探すこと、が重要なのだと思う。
野水さんは、”自立というのは依存先を増やすということ”と説いていた。
新たな依存先を見つけること、そのための”心の準備”をすることが、”副業への第一歩だと思う”
参考:野水克也氏の講演例
「共働き時代のワークスタイルとは?」サイボウズ野水克也氏
「離職率28%」出発の改革 サイボウズ野水氏「人は好きな事をやるとき一番成長する」
フリーランス 50代以上の比率が50.1%!?IPAの人材白書2016の、フリーランスの働き方について調査を見て、ちょっと驚いた!
回答者属性を見ると50代以上が50.1%となっている。もちろん回答者属性なので、フリーランス人口の占める割合ではない。
調査の仕方があまりにも偏っていればだが、一応IPAの調査なので・・・まったく市場比率とはかけ離れているということはないだろう。
IT人材白書の調査側でも、おそらくこの比率にあれ?となったに違いない。このあとの文書はこう続けられている。
(全文そのまま載せちゃいます。)
中小企業庁委託「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編4」(2015年2月、
(株)日本アプライドリサーチ研究所)では、フリーランスの年代構成は、20代以下が1.1%、30代が10.9%、40代が36.3%、50代が38.3%、60代以上が13.5%であった。この調査は、「ITエンジニア」以外の職種のフリーランスも含むものであるが、今回の調査と同様の傾向となっている。
「もしかすると」現実にフリーランスの半分が50歳代以上となっているってコト!?。
正直、以外といるんだな!50代という感じ。
それでは、50歳代のITフリーランスってどんな仕事しているんだろうか。
実は白書では、仕事の内容について年齢別に表記はされていない。
30代~40代を抽出して、IT企業に勤める社員の仕事と比較している。
フリーランスは、「受託系事業」より、ウェブ関連の事業(「ウェブサービス企画、開発、運用」、「ウェブサイト構築、デザイン」)「コンサルタント他」の割合も高いようだ。
インタビューによると、20代、30代では、ウエブシステム開発、40代ではコンサルタントと年齢ごとに業務が異なっているとのこと。
50代以降もおそらくコンサルタントで働いている人が多いのでないかと推察できる。
白書では、フリーランスの年収についても調査されている。
もちろん、働く時間も異なるので、フルタイムで働く会社員と単純比較はできないのであるが、
数字を書くとこんな感じ(50代以上)
300万未満 31.2%
300~500万 29.8%
500~700万 19.7%
700~1000万 17%
1000万以上 2.3%
300万未満の層が一番多いが、単純に計算比較すると会社で働くほうが、4割程度多くなる。会社では年功が効くが、フリーランスではそうはいかない。
会社では、定年と超えて、再雇用となると、大幅に年収は低くなる。働ける期間と給与を比較したときにどうか、自分のライフプランとあわせてどうかというところが判断基準となるのではないか。
経済産業省の将来推計では、50歳以上のIT技術者の比率は、2020年には、22%、2030年には27%となる。
他の年代の技術者の比率がすべて減っていく傾向にあるのに対して、50代以降の層だけ増えていく。
シニアの活用も重要度を増す中、同様にシニア活用の難しさも指摘されている。
経済産業省の資料では、「新しい業務知識や技術への対応力が低い」、「コスト(人件費)が高い」、「生産性やパフォーマンスが低い」といった課題が上げられていた。
ITは技術の進歩や移り変わりは激しい。技術そのものでは、なかなか若いエンジニアと同じレベルになることはむつかしいだろう。
でも、対応力や理解力は必要だ。そうしないと市場ニーズについていけなくなる。
シニアは、”技術スキル”では勝てない、やはり”多くの経験”が強みだ。シニアは多くの修羅場をくぐって生き抜いてきているはずだ。
経験というと「昔はこうだったのに、今の若い者は!!」というもん切りで使うというイメージを抱くが、”経験”を、判断のポイント、考え方、全体の見極め方とかとなっていれば、若いエンジニアや、顧客の役に立ちうるのではないか
経験を他人が理解し、へぇーそんな考え方あるんですねーとか、なるほど!とか共感を得られるように高めれば、それはその人が持つ”固有スキル”になるのはないか。経験こそが、シニアが差別化できる、ユニークにできる要素ではないかと思えるのだ。
シニアにこれから求められるのは、実は”自分のスキル”の棚卸ではなく、”自分の経験・修羅場”の棚卸とそれを誰にでも訴求できるようにすることなのではないか。
参考文献:
IPA 人材白書2016
経済産業省 IT ベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業

働き方改革の残業規制の上限議論が固まってきました。
労働時間の抑制とともに、働き方改革の目玉として、働き方の多様化への対応として副業の解禁があげられています。
政府は働き方改革の一環として、企業で働く社員の兼業・副業を普及拡大するためのガイドラインを作成する方針で、ガイドラインによって企業に柔軟で多様な働き方を促す狙いがあるようです。
現在、副業を許可しているのは、大手では少ない。
副業許可は、サイボウズ、リクルートキャリア、ヤフー等々若い企業、ベンチャー企業がメインです。
昨年、大手では、ロート製薬で、副業を解禁しています。
こうした若手企業が、副業許可する理由は、多様な働き方を許容することによって、
より優秀な人材を確保したい、(もちろん外で自分を磨いて、会社でも才能を発揮してほしいという希望があるにせよ)人材募集していくための「差別化」であり、企業ブランドを高めていくために積極的に導入しているように思えます。
そう!「副業許可」のメッセージは、あくまでも若者・採用者向けになされているです。
今はひとつの会社で勤めあげるという生き方は(いまだにメインだとしても)絶対的でなくなっています。
ちなみに、年齢別離職率を平成16年と平成27年で比較してみました。若い世代ほど離職率はこの10年間で増加している。
| 20~24 | ~29 | ~34 | ~39 | ~44 | ~49 | ~54 | ~59 | ~64 | ~69 | |
| 平成16年 | 18.0 | 13.1 | 9.5 | 6.8 | 6.7 | 5.5 | 6.7 | 7.0 | 12.3 | 4.5 |
| 平成27年 | 24.9 | 16.8 | 11.5 | 8.0 | 7.5 | 5.9 | 7.3 | 7.5 | 14.1 | 10.1 |
そのために、働き方の多様化への企業のメッセージが採用の場においてもメリットとして伝わりやすいのではないでしょうか。
若者向き、採用向きの「副業許可」。でも副業許可が一番必要なのは、シニア世代ではないかと考えています。
会社の定年は60歳、運よく65歳まで会社に残れたとしても、あと5年、10年自力で働いていかないといけない
社会になりつつあります。
会社で新人がOJTで成長していくように、退社して自力で生活していくためには、準備が必要になります。
会社にいる頃から副業を通して、自分のスキルが市場で生きるようにしていく。それが安定的な長寿化社会の実現には必要なのではないでしょうか。
自分の会社でのスキルを外から眺め、外で試すことによって、自分のスキルアップにつながるでしょうし、そのスキルを会社の中でイノベータとしていかすこともできてくるでしょう。もちろん自立のイメージもで来てきます。
来る5年後、10年後の自立のために、働くことの選択肢を増やしてあげることが必要なのではないでしょうか。
もちろん、働くことだけではなく、NPOに所属して、ボランティアでもいいでしょうし、
セカンドライフのオプションを経験・準備を通してシミュレーションしていく仕組みがあればいいのではと思います。
定年後の雇用延長社員や定年前、役職定年者に、会社は2、3日勤務とともに、副業・兼業の選択を許可していく。
そんな制度がつくれるのではないでしょうか。副業が必要なのは、実は、シニア世代・定年まじかの世代なのです。

採用のために、副業許可して、優秀な人材をひきつける。会社にとって取り組む意味はわかりやすい。
では、会社をリタイアする人のために、そんなオプションを作ってあげる必要があるのでしょうか。
それは、企業OB/OGが社会で活躍することによって、企業価値を高めることに貢献できるではないかと
思います。
例えば、リクルート、ここには元リクルートで現在、社会で活躍している人材が多数います。
(USEN 宇野康秀さん、リンクアンドモチベーションの小笹芳央さん、元トレンダーズの経沢香保子さんとか、
私の知り合いの元リクは現在、ブルーのラリーバードマークの会社で社長をなさっています。)
リクルートは30代、40代で活躍している会社ですが、同様にOB/OGが社会的に活躍し、元〇〇はすごいとなれば、その作り出す企業価値は大きいはずでは。
もちろん、こうしたサポートをうけたOB/OGは退職後も会社のサポータとして、株主にもなってくれたり、
製品モニターにもなってくれる可能性も高くなるでしょう。
定年後に、社員が社会で活躍してもらうこと。それは大いに企業にもメリットがあるのです。
シニアにこそ、副業許可をしていくべきなのではないでしょうか。
参考文献
プレジデントオンライン:山口俊一「兼業・副業」はシニア社員と役職定年者から始まる
厚生労働省:雇用動向調査(平成16年度版と平成27年度版)
毎日新聞:働き方改革 兼業・副業の指針作成へ…政府